人は想いを残そうとするか、形を残そうとするか

人はこの世に生きて何を残そうとするのでしょうか。 名前や子孫、財産といった形に拘るのでしょうか、それとも自分の想いを人や文章や楽譜に表して後世に託すのでしょうか。 私は小さい時から偉い人の伝記を読むのが大好きで、平凡な人生よりも人生を完全燃焼して生きる人への憧れを強く持っていました。 その中で幕末に生きた吉田松陰先生のように形に拘らず、利得に拘らない生き方をした人間に強く惹かれるようになったのです。 明治でいえば三菱財閥を作った岩崎弥太郎よりも、商道徳の確立に熱心だった渋沢栄一の方が好きです。  何を作ったかよりも何を伝えようとしたのかに関心がいくのです。  今のグローバル化した複雑な世界で、誰に何を伝えるかは難しい問題です。  狭い日本に絞ってみても、いろいろな考えの日本人が現れるようになりました。  答えは一つではなく沢山あって絞れないかもしれません。 そんな大きな問題を考えるよりも、もっと身近な問題を考えるほうが大切かもしれません。 しかし私は最近特に形を残そうという人ばかりが多くなった今の日本で、ごく少数派でも想いで残すことに拘って生きていきたいと思うようになりました。  最近知った話ですが、私の好きな囲碁界で大窪9段が4、5年前から内弟子を採り始めました。  すでにもう何人かがプロになっているそうです。 自分の家に長男を含めて数人の内弟子を預かり、プロになる修行をしています。  そこでの中心は勿論大窪9段ですが、そのおかみさんが素晴らしい言葉を語ってくれました。
「私は碁のことは何も判りませんから主人任せです。 しかし私が預かった子供達は自分の子供と思い、碁だけでなくどの世界でも通用する立派な人間になってもらうことが私の念願です。
その為に碁だけでなく行儀、作法、学問を学んでもらいます。 碁だけが強い人間にはなってもらいたくはありません。」  報われることの少ないこのような仕事に対して、まだこのような素晴らしい方が日本におられることを知って涙が出そうになりました。
by 11miyamoto | 2007-02-20 19:48 | 十一の五六


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