つまるところは経営者次第

最近読んだ本と新聞で、個別株の究極の選別法はやっぱり経営者だと思われる記事に出会いました。
一つは「良い方」は 昨日(12/26)の日経朝刊の一面。
「日本経済 2005年への視点」に出られたトヨタ自動車社長の張富士夫氏。
人材育成を重視していることがトヨタ、そして日本の強みというのが張社長の持論だそうです。
「人材開発が永遠の課題なのです。 今は世界中で技能を教育しているが、製造の精神、
考え方、価値観を植え付けている。  人件費は変動費で業績が悪化すれば人を減らせば
よいと考える人に経営は任せられない。 「人件費は固定費」で、一度雇用すると解雇しない
基本姿勢だからこそ、普段から無駄のない現場にし、従業員の多機能工化などいろいろな
工夫も出るのです。」
この最後の言葉を公言できる社長は日本に何人おられるのでしょうか。
経営者の何たるかをこれぐらい簡潔に表現した言葉に感動しました。
トヨタの社員は恵まれているなとつくづく思いました。

二つ目は悪い例  「内側から見た富士通 成果主義の崩壊」 光文社刊
この本はつい最近まで富士通の人事部に在籍した城繁幸氏によって書かれています。
私が買った時点(12月初旬)で25万部というベストセラーになっていましたから読まれた方も多い
でしょう。
日本のリーデイングカンパニイーといえる富士通のこの惨情は、俄に信じ難いぐらいですが
しかしこれが実態なのでしょう。 

この両者を今株価で見ても、ファンダメンタルで見ても歴然とした開きがあります。
10年前であればどちらが王者になるかは判らなかったでしょう。
何がこの差を分けたのか、それは経営者の人に対する考え方だったと思います。
人をロボット扱いする会社と人を最高に扱う会社の違いが10年たって出てきただけなのです。
私が前に社長と30分、社員と10分話すだけでその会社の将来がおおよそわかると言いました。
それはここを中心に見ているのです。
これは何も小さい会社だけではないのです。
大きくても小さくても同じなのです。
 ファンダメンタルというと業績や新製品ばかり調べる人が多いのですが、私は社長の言動とそこに嘘があるかないかを中心に見ています。
それが10年という歳月が暴き出してくれるからです。
 
皆様も一度この視点で会社の判定をされては如何ですか。
そうすれば新聞の読み方が、物から人に変わり株の見方も変わるかもしれません。 
私は最近株で大切なものは見えるものより、見えないもののほうが大切だと感ずるようになりました。  見えるもの(業績、株価、本社ビルなど)は実は影であって、その先を行く光は当然見えませんが、それが人(特にトップの人に対する認識や社員の会社に対する忠誠心等)であるという認識に変わってきました。
影は織り込み済みの材料であって株価を押し上げてくれません。
株価を押し上げてくれる最高の材料は一番初めに上げました張社長の言葉にあった人間
に対する温かい認識やそれに答えようとする社員の固い絆だと確信しました。
そんな集団が我々消費者を感動させて成長していくのではないでしょうか。
私は前に薩摩の殿様の話をしました。
この話は今の話の伏線として書いたものです。
昔百姓一揆が起きたときに、温情の厚い庄屋さんは周りの百姓の方が命をかけて暴徒から
庄屋さんを守ったといいます。
今も昔も人の心は変わらないのです。
by 11miyamoto | 2004-12-27 18:43 | 十一の五六


<< 潮目のお知らせ 宇宙のスペクタクルショウ >>